【読書感想】重力ピエロ:伊坂幸太郎 /新潮文庫

【重力ピエロ:伊坂幸太郎】読書

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティーアートの出現。そしてグラフィティーアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄がついに直面する圧倒的な真実とはーーー。溢れくる未知の感動、小説の奇跡がここに。

「bookデータベース」

優しさを感じるミステリー

「春が二階から落ちてきた」

冒頭の一文で様々な想像をかき立てられました。

桜の花びらが落ちてきたという訳ではなく、春というのは主人公・泉水の弟のこと。

ある日連続放火事件が起こり、その現場近くにはグラフィティーアートが残されています。

この放火事件は、グラフィティーアート、更には遺伝子のルールなるものが関係してきます。

私は遺伝子のことは詳しくないので、「ちょっと難しい内容かも。」と思いましたが、大丈夫!
詳しくない人でも全く問題なく読める内容になっています。

むしろ謎解きのようで面白く読み進められました。

ピエロの空中ブランコを見ていた泉水の父が言っていた、

「楽しそうに生きてれば、地球の重力なんてなくなる。」

この言葉は、世間体・社会性・道徳などを「重力」 として例えているのかなと思いました。

これが冒頭の一文「春が二階から落ちてきた」と繫がる気がします。

このミステリーの裏テーマ

それはズバリ

【家族の愛】

実は泉水と春は父親が違います。

どこかギスギスした話になることを想像してしまいますが、ミステリーの内容と同時に、家族愛も沢山描かれています。

複雑な家族ですが、苦しかったであろうその背景はあまり書かれてはいません。
けれども、苦しかったであろうという表現が、文章の節々に時折組み込まれています。

そして、春の「良くて悪いこと」が何を表しているのかが物語の終盤でわかってきます。

ミステリーであるのに終盤はウルウルしながら読んでいました。

様々な登場人物達

物語には沢山の登場人物がいます。

この人が犯人だろうと考察しながら読むのが楽しいのはもちろんのこと、伊坂幸太郎さんの他の作品の登場人物が、ドラマでいう特別ゲスト枠な感じでちょっとだけ出てくる楽しみがあるのも、伊坂シリーズの醍醐味であります。

「オーデュボンの祈り」のカカシ伊藤が登場しているので、ぜひ読む機会がありましたら探して見てください!!

以上、重力ピエロの感想でした!
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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