今回は伊坂幸太郎の作品、『アヒルと鴨のコインロッカー』の読書感想です。
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけてきた。彼の標的はーーーたった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!
引用元:bookデータベース
注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
コナン君でさえも解けない?
「やられたぁー!!」
が、読み終わった時の気持ちです(笑)
ほんとに予測がつきません。
伊坂幸太郎さんの頭の中はどうなっているのか?
最後の展開を知ったうえで、もう一度読み返してみると、
伏線はそこかしこに確かにあります。
まさに匠の技!!笑
物語の最後には、コナン君もビックリの伏線回収が待っています。
3回ほど読みましたが、あともう2回ぐらい読みたいです。
正直1回目読んだときは、内容が理解出来なかったです(笑)
巧みなトリックで伊坂ワールド全開!
登場人物
・主人公/椎名⇒⇒⇒大学生
・川崎⇒⇒⇒大学生、椎名のアパートの隣人
・キンレィドルジ⇒⇒⇒ブータン人の留学生
・琴美⇒⇒⇒ペットショップ店員でドルジの恋人
・麗子⇒⇒⇒ペットショップの店長
・江尻⇒⇒⇒書店の店員
川崎が同じアパートに引っ越してきた椎名に、
「一緒に本屋を襲わないか?」と持ちかけてきます。
大学生になって早々に、書店の広辞苑強盗になってしまった椎名。
しかし、これが物語の始まりかと思いきや、
椎名はある人物達の2年前の物語のラストに、巻き込まれているだけだったのです。
この物語には、叙述トリックなるものが使われております。
(*叙述トリックとは、作者が読者へ向けて罠を張ること)
主人公・椎名がいる「現在」と、川崎・ドルジ・琴美がいる「2年前」の物語が交互に出てきます。
この2つの物語が繫がっていくことは、予測出来ますが、
どう繫がっていくのかは、全くわかりませんでした。
またもや伊坂さんに惨敗(笑)
何が叙述トリックだったかを書いてしまうと、
盛大なネタバレになりますので、このブログでは書きません!!
何の気なしに読み過ごしそうになっていた、書店の店員・江尻も物語に関係しています。
伏線が回収されるにつれて、結構切ない物語でもあることがわかってきます。
物語の途中にヒントあり
最後の方で伏線は大回収されていきますが、
物語の途中で、伊坂幸太郎さんはいくつものヒントを置いてくださっています。
「読者よ、ここに叙述トリックのヒントがあるぜよ。」
と伊坂さんが思ってくれたのかは別にして、
何個か罠をご紹介していきます。
①川崎はなぜ、「広辞苑」ではなく「広辞林」を盗んできてしまったのか。
②椎名が買ったはずの本が、川崎に連絡したときになぜ家からなくなっていたのか。
③椎名の家に上がり込んでくる猫、シッポサキマルマリの尻尾になぜ、くじが巻き付けてあったのか。
④川崎はなぜ、新聞を椎名に読ませたのか。
これで勘づいた方は、伏線が回収される前に、
自分でほとんどの伏線を回収できちゃうかもしれません!
タイトルの意味
アヒルと鴨⇒似ているようで似てないという意味(!?)
日本人とブータン人は似ていると琴美が言っていた。
日本人とブータン人が似てないようで似ている。
という例えからおそらくアヒルと鴨が用いられた。
もしかすると、椎名と川崎の可能性もある。
コインロッカー⇒悪いことをしたと思ったら、
「神様を閉じ込めて、全部なかったことにしてもらえばいい。」
と琴美がおそらく冗談で言っていたことを真に受けたため、
閉じ込める場所として、コインロッカーを選んだ。
川崎はボブディランを神様の声と言っていた。
ボブディランを流しているラジカセを、コインロッカーに閉じ込めに行った。
これを全部まとめると「アヒルと鴨のコインロッカー」
特別ゲスト
今回の作品にも他の作品から登場するのが、
「陽気なギャングが地球を回す」の響野の妻・祥子です。
主人公・椎名の叔母として名前が出てきます!
これも楽しみの一つ。
映画化されている
私はまだ見たことがないですが、映画化されています!
叙述トリックの場面がどうやって映像化されているのか気になります。
小説から省かれてる場面もあるみたいなので、
見るかどうするか迷うなぁ(笑)
ちなみにキャストは…
椎名⇒濱田岳
川崎⇒瑛太
琴美⇒関めぐみ
麗子⇒大塚寧々
謎の男⇒松田龍平
書店店員の江尻役では、ミスター都市伝説の関暁夫さんが出演しているそうです。
興味湧いてきた(笑)


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