コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている”荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか?
引用:bookデータベース
今回は伊坂幸太郎の「オーデュボンの祈り」の感想を書きました。
色んな登場人物の話がラストで繫がっていきます!!
荻島と仙台。それぞれで起きている事の関係性
過去と現在がうまく絡み合っていく。
主人公・伊藤が目を覚ますと、そこは自分の家ではなく、「荻島」という外界から遮断された島でした。
ここで荻島での物語が進行していくと思いきや、仙台での伊藤の元カノ・静香、警察官・城山の話も同時進行していきます。
この荻島と仙台での出来事がどうリンクするのかワクワクしながら読み進めました。
轟きのおっさんは、島で唯一「荻島」と「仙台」を船で行き来出来る人物なのですが、この物語の鍵を握っています。
轟きのおっさんの家の地下にあるもの。この作品のラストあたりで「なるほどー!」と思います。
喋るカカシの優午が言う、「この島に欠けているもの」とは何か。
これは伊藤の元カノ・静香の存在が結構キーポイントです。
轟きのおっさん家の地下にあるものも関係してきます。
みんな怪しい…
そう、この物語の登場人物全員が怪しいのです(笑)
島の法律と言われ、殺人を許されている:桜。
嘘しか言わない変人画家:園山。
人の良い郵便局員:草薙。
絶対この人が犯人だろうと思ってしまうような人物が、沢山いるわけです。
ちなみに題名にもなっているオーデュボンは実在した人物でした。
『アメリカの鳥』など自分の描いた鳥の図鑑を出版していた方で、リョコウバトを愛し、乱獲によって20世紀初頭に絶滅してしまったことを悲しみました。
と、このリョコウバトも物語には登場します。
色んな登場人物がいすぎるので、これがどうやって繫がっていくのか。
最後の最後まで予想がつきません!
怒濤のラストスパート!
この島に欠けているもの。
なぜカカシは殺されたのか。
仙台の静香と城山はどうなるのか。
真実が分かったとき、ミステリーではあるものの、私はなぜかホッコリした気持ちになりました。
そして、未来が見えるカカシはなぜ自分が殺されることを予測出来なかったのか。
その理由を知ったとき切なくなりました。
島民のためにカカシは自らを犠牲にしたのだろう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
コメント